一度にたくさんの人と出会えステータスもわかるマッチングアプリでは、どんなにメッセージ上の印象が良くても、実際に会ってみると話し方などで印象が全然違うこともあった。それが婚活パーティーでは ごまかしの効かない男と女のタイマン勝負。マッチングをすればそのまま同日に軽くお茶をして相手を深く知ることができるのも効率がいい。
わたしが初めて参加した婚活パーティーは、友人と一緒に参加したのだが、周りの参加者は一人の方が多かった。実際、マッチングしたお相手から誘われたお茶は、友人に遠慮して後日行くことになってしまったことから、婚活パーティーは一人で参加する方が効率的だと身を持って体感した。
程なくして彼氏ができたため、それ以来婚活パーティーに参加することはなかったが、数年が経ちその彼とも別れたばかりの私は、いてもたってもいられずその時の教訓を胸に婚活パーティーに一人で飛び込んだ。
裸の大将が現れる
その日参加したパーティーは少人数形式のもので、パーテーションで区切られた個室スペースで男女総当たりで数分間トークをするというものだった。
せっかく行くなら全員と満遍なく話ができる方がいい。人間、見た目に左右されがちだけれど話してみないとわからない魅力もある。どんな人が来るんだろう。席に座りパーテーションの隙間から次々現れる男性達にドキドキしながら、互いを知る会話を楽しんだ。
ストレートに顔がタイプの人、優しい人、真面目で頭の回転も早い人、たくさんの異性と短時間で出会えるお見合いパーティーの素晴らしさを噛み締めている中、次に現れた彼は少し様子が違っていた。
パーテーションの陰から登場した彼。皆清潔感のある格好で参加する中、タンクトップとハーフパンツという、どう見ても裸の大将の出で立ちの男性が現れたのである。
足は素足に便所サンダル。足だけ下駄から現代化したハイエンド版裸の大将。なぜか足の指にはバンドエイドが無数に巻かれていた。
彼の足に何があったんだ…と怯えつつ、少し期待をしてその手を確認するとおにぎりはなく、握られているのは自己紹介カードとペン。自己紹介カードの好きなもののコーナーをすぐさま確認するもそこにもおにぎりの文字はない。
さすがにそこまで仕上がった裸の大将ではなかったか。残念だ…
しかしこの裸の大将は芦屋雁之助版か? それともリメイクされた塚地武雅版か?
などと妄想を膨らませている途中でふと目的が変わってしまっていることに気づき、私の悪い癖を反省しつつきちんと相手に向き合うことにした。

お互いの挨拶もそこそこに

「えっ?」

「えっ? えっ?」
さっきのという単語が何を指しているのか??
私はなにか重大なお知らせでも聞き逃していたのか?
さっぱりわからないまま戸惑う私に大将は告げた。

「あ…はい…」
婚活パーティーは個人でマッチングするので正直なところそんなことはめちゃくちゃどうでもよかった。
そこから特に友人の話題が広がるわけでもなく、裸の大将 without おにぎりの無鉄砲な話題の振り方にやや疑問を抱きながらプロフィールカードに目をやった。しかし彼は早かった。私がプロフィールの序盤を読み始めたあたりですかさず口を開いた。

速い!! 速すぎる!! 早押しイントロクイズか?? というかお前年収のところのみピンポイントで見てるだろ!!
フライングゲット僕は一足先に〜♪
君の年収 今すぐ確認しよか♪
AKB48のあの名曲とともにあっちゃんが脳内であのポーズをキメている中、私は思った。
男の人は自分の年収のことを聞かれると金目当てかと一歩引いてしまうとはよく言うが、大して稼いでいるわけでもない私ですらこういう気持ちになるんだな…
Na Na Na Na Na Na Na Na Na〜♪
Na Na Na Na Na Na Na Na Na〜♪
フラゲの間奏がエンドレスで頭に巡る中、ひたすら私の仕事とお金の話を深掘りしてくる裸の大将。
それよりも足の便所サンダルが気になって気になって話が入ってこない。
クラクラッ 動揺した婚活で〜♪
足元 チラ見してた便所サンダル♪
フラゲの爽やかな歌詞が一気に脳内でどんよりし始めた。
もしかして居酒屋の座敷席からトイレに行こうと履きかえたサンダルのまま、うっかりそのまま婚活パーティーに参加したのだろうか?
そして足の指にめちゃくちゃ巻かれた謎のバンドエイド。居酒屋から来る道のりが険しすぎて、はるばる野を超え山を超えサンダルをつっかけて転倒でもしたのだろうか…
はたまた裸の大将よろしく野に咲く花のように風に吹かれようとした結果、ヤブで蛇にでも噛まれたのだろうか…
便所サンダルをかっこよく着こなしてるのはマキシマムザホルモンの亮くん以外見たことがない。これはどういうコーディネートなんだろうか。
聞きたいことがプロフィールカードよりも大将の足元に集中しすぎて困る…困るよ…なんなら足元のプロフィールカードが欲しいよ…
その間も大将はひたすらお金の話を絨毯爆撃かの如く逃げ場なく浴びせかけてくる。
その質問を適当にあしらう中、私の頭の中で裸の大将の名言がふと浮かんできた。
「ぼぼ、ぼくは…おおおかねが…大好きなんだな」
裸の大将の純朴さをきわ立てるのが彼の大好きなおにぎり。でもこちらはお金が大好きな裸の大将。
もしかしてあまり綺麗には見えないこのタンクトップにハーフパンツ、便所サンダルもお金を節約した結果長く長く使うことになった物なのかもしれない。あれか、所有物を最小限にしてそれらを大切にして暮らす今流行りのミニマリストってやつか。
タンクトップに短パンにサンダル、服の丈という丈までも削りまくった究極のミニマリスト。
裸の大将だと思っていたけれど、実は思想は今時なのかな。
しかし大将とのセッション…そろそろ辛いな…
私のHPゲージが無くなりそうな頃、席替えのコールが響いた。
やった…やっと次の人が来る…!!
と思いきや大将は去り際に恐ろしい呪文を残していったのである。

Na Na Na Na Na Na Na Na Na〜♪
Na Na Na Na Na Na Na Na Na〜♪
なんだと!!!!
古来から伝えられしあの言葉「類は友を呼ぶ」カードを攻撃表示で召喚し、消えた大将。
バルスを超える恐ろしい呪文がこの世にあったとは…
一人になった部屋で私は震えた。
西野カナは会いたくて会いたくて震えたが、私は会いたくなくて会いたくなくて震えた。
大将みたいな人がもう一人くるのは、キツイ。
命を授けられしバイブレーションのようになった私の目の前に現れたのは、ベビーフェイスに似合わずガタイがよく、そのギャップが可愛い清潔感のある男性だった。
あれ??
おもっきりいい感じの人じゃないか。
念のため確認するとやはり大将の友人らしい。
今日は3人で参加したのだと。
中身も優しくて気遣いのできるめちゃくちゃいい人だった。
でもどうしてもあの空気の読めない大将と友人だということが私の中で脳裏から離れない。
とてもステキな人だけど大将とこれから彼の友人として付き合っていく可能性があるのか、そもそもあの変わった人と友人だということは何かこの人にもあるのでは…
とてもいい人だったけれど、どうしてもそこが気になり結局私は違う人を選んでしまった。
大将が悪印象な上に不必要に他の参加者を友人だと触れ回るせいで、結果として彼はまともな二人のイメージを下げて足を引っ張っているというクラッシャーとなっていた。
その日、改めて実感した。
やっぱり婚活パーティーは一人で参加するべきだと。
あなたの友人は裸の大将ではないとは思いますが、相性次第で何が起こるかわからない婚活パーティー。
私のこの出来事を反面教師にぜひ勇気を出して一人で門を叩いてみて下さい。
さて、おにぎり食ってこよ。
Ni Ni Ni Ni Ni Ni にぎりめし〜♪
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