恋愛コラムニストが離婚した日

こんにちは、トイアンナです。私は2018年1月1日に離婚をいたしました。東京都の区役所へ提出したのですが、周囲は婚姻届を出す人であふれており、提出日のチョイスに「やっちまった」感があったことはぬぐえません。

そして、単なるプライベートのできごと以上に、私には大きな影響がありました。私の職業は、恋愛コラムニスト。本来であれば「運命の彼を見つけました♡永久に共に♡旦那しゅきしゅき♡こんな素敵な相手を捕まえるテク教えちゃうね♡」とつぶやくことがお仕事なのです。それが離婚。

さあ、恋愛コラムニストの仕事どうしよう。それが私の課題でした。

 

恋愛コラムニスト、離婚の根回しをする

そもそも離婚話が出たのは1ヵ月前の12月。あまりに急な彼の申し出に驚きましたが、恋愛コラムニストは驚いている場合じゃありません。

「仕事も危ない!」これまでさんざん、恋愛や婚活をテーマに書いてきた人間です。離婚となれば、下手すると案件が吹っ飛びます。離婚をしても死なないけれど、仕事が無くなったら死んでしまう。私は離婚危機となった段階で各所へメールを打ちました。そのときのメールが、こちらです。

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●● 様
いつもお世話になっております。
連載をいただいているにも関わらず誠に申し訳ございません、近々離婚をする可能性が出てしまいました。
つきましては原稿のテーマを「夫との関係構築」から「離婚のご報告と振り返り」に変更させていただきたく……。
私事により連載テーマを変更させていただく運びとなり、誠に申し訳ございません。
何卒ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。

トイアンナ 拝

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この世でこんなビジネスメールを打つ必要に駆られる人間なんて、恋愛コラムニストしかいないんじゃなかろうか? はたからみればギャグにしか見えないこのメールも、私には大きな転換期でした。

恋愛コラムニスト、やめるべき?

「恋愛コラムニスト、離婚したらやめるべき?」

という考えも、少しだけ浮かびました。私はもともとマーケターという職種を会社員時代にやっていました。メーカーで製品を売るキャンペーンを考えたり、イメージ戦略を立てたりする仕事です。そこから別業種である恋愛コラムニストへ転身したのは、夫の海外転勤へ帯同するため。けれど離婚すれば、転勤の制約もなくなります。

恋愛コラムニストの仕事は最高に楽しく、お取引先も優しい方ばかりでした。しかし離職してから約2年半。そろそろ会社員へ戻れるかどうかのリミットが来ているのでは……?

そして何より、私に恋愛コラムニストを名乗る資格はあるのでしょうか。一般的に、恋愛コラムニストのイメージは「男を落としまくる恋愛のプロ。伴侶もいい頃合いに見つけてラブラブ」な人間です。離婚した時点で伴侶とラブラブなわけありませんし、恋愛コラムニストとしての信ぴょう性がゼロになるのでは……。

恋愛コラムニスト、やめない宣言

しかし、その考えはすぐに打ち消しました。なにしろ、私自身が恋愛で成功者だったことなんてこれまでの人生において一度もなかったからです。浮気をされて別れ、彼へ貸した金はふみたおされ、DVを振るわれ。これまでだって散々失敗を糧にしてコラムを書いてきたのです。

いまさら離婚ごときで私の読者さんがびっくりするはずもありません。むしろ読者さんなら「1度は離婚すると思ってたわ」くらいおっしゃりそう……。

読者さんの望んだ展開になるため離婚するわけではありませんが、その程度でファンは動じないだろうと判断しました。恋愛の穴という穴、すべてに落ちてきた私が「お前らはこの穴に落ちるなー!!」と叫ぶことにも価値はあるだろう。恋愛で成功してきた人間のアドバイスより、泥まみれになった人間を反面教師のように見てもらえた方がいいのではないか。そんな風に思えたのです。

優しい取引先に涙を流す

そんな間にも、刻々と離婚の話は進んでいきました。離婚自体はすぐ「仕方ないね、離婚しよう」と結論づいたのですが、どう引っ越しをするか、家具をどちらが持っていくか……などの細かい調整が残っていたのです。

彼のことを愛していました。だから、彼が離婚しようという言葉にも反対したくありませんでした。私を愛してなんて、ワガママを言いたくない。彼を6年もパートナーとして持てたことに感謝しよう。

そうは思っても、二度と彼のシャツの裾を握れなくなるのが、もう抱きしめられないのが、手を繋げないのが、つらい。

そんな折、お取引先からいただいた言葉に涙ぐみました。
「大変だったかと思います。それでも連載をぜひ継続してください」
「これまでと異なる視点でのコメントをいただければと思います」
「いつでも戻ってきてください」

駆け出しのころから面倒を見てくださったお取引先も含め、どこまでも優しい言葉をいただいて、それなのに離婚でご迷惑をおかけして申し訳ない。何度もパソコンのモニターを見ては、涙をこらえました。私には、泣く資格なんてない。仕事でご迷惑をおかけした分は、仕事で取り戻すしかない。

いい文章を、書こう。
それが離婚してすぐ、私が誓ったことでした。